【スポーツ】ある行動一つで、サボりたかった練習のモチベーションは跳ね上がります。
長くスポーツに打ち込んでいると、スランプに陥ることはきっと誰でもあるでしょう。
うまくいかないときの練習は、先が不安で苦しく、ついつい「やめてしまおうかな」
とか「練習サボろうかな」なんて考えが頭をよぎってしまったことも
あるのではないでしょうか。
ですが、そのスポーツに本気で向き合っているなら、
きっと皆さんはそんな中でも自分を奮い立たせ、試行錯誤しそのスランプを乗り越えてきたのでしょう。
今回は、そんなスポーツの場においてうまくいかず、
練習に対するモチベーションが上がらなくなってしまったときに、
役立つかもしれないとある心理行動実験をご紹介します。
この実験は南ミシシッピー大学のケンジ・ノグチ、イリノイ大学のイブラヒム・シネイ、ドロレス・アルバラチン、の3人の研究者によって行われたセルフトークに関する実験です。
実験内容
被験者を2つのグループに分けアナグラム(単語の順番を入れ替え
別の単語を作る遊び)に挑戦してもらいます。
ただし、アナグラムに挑戦する前に2つのグループで以下のような
別々の行動をとってから、アナグラムに挑戦してもらいます。
グループA
「私はやるんだ!」やというように、自分自身に気合を入れるような
セルフトークをさせる。
グループB
「私はやるかな?」や「私はできるだろうか?」というように
自分自身に問いかける形でセルフトークをさせる。
以上のような2種類の行動をとってからアナグラムに挑戦してもらいました。
実験結果
結果は、自分自身に気合を入れる形でセルフトークをしてからアナグラムに臨んだ
グループAよりも、自分自身に問いかける形でセルフトークをしてから
アナグラムに臨んだグループBの方が、平均して50%も多くの課題を解いたそうです。
考察
今回の実験結果から、自分自身のモチベーションを上げるためには、
自分自身を無理やり動かそうと奮い立たせるような「さあ、やるぞ」といった
セルフトークよりも、「私はやるかな?」「私はできるかな?」というように、
自分自身にやさしく問いかける形のセルフトークを行った方がよいと考えられます。
思うような結果が出ず、うまくいかない中でも自分自身を奮い立たせることは
決して悪いことではありませんが、毎度それを続けると、
いつかそれはあなた自身の心のしがらみとなり、
練習に対するモチベーションを下げかねません。
スランプに陥るのは、そのスポーツに真剣に向き合っている証拠だと私は考えます。
まずは、十分頑張っている自分自身を認め、モチベーションを上げたいときは、
優しく疑問形で自身に問いかけてみることが、
スランプに陥っても、モチベーションを維持する有効な手法なのではないかと
考えられます。
結論
やる気が起きないときは、自分に問いかけてみる。
今回の参考書籍
ダニエル・ピンク(2013)『人を動かす、新たな3原則』
池田貴将(2017)『図解モチベーション大百科』
【スポーツ】「直感」は時に「分析」を上回る?
野球の試合で「次ここに投げたら打たれる気がする、、」、サッカーのPKで、「このコースにシュートが来る気がする、、」、などといった、スポーツの場において「なんとなく」を感じた経験はありませんか。
今回はその「なんとなく」つまり「直感」について、書籍「モチベーション大百科」に、エリック・デイン氏らが行った実験で、興味深い実験があったので紹介します。
実験内容
有名ブランドバッグを所有している者と所有していない者を被験者として集め、それぞれごちゃ混ぜにした2つのグループに分けます。
その2つのグループに有名ブランドのバッグとそうでない偽物のバッグを混ぜた、合計10個のバッグを以下の方法で見せ、本物の有名ブランドバッグをどのくらい見破れるかを計測します。
グループA
バッグを見て考える時間は、5秒しか与えらられない。
つまり、直感に頼らざるを得ない状況を作る。
グループB
バッグを見て考える時間は30秒与えられる。
つまり、よく観察でき、よく分析できる状況を作る。
上記の方法で2グループが有名ブランドバッグを見極めることができたかを計測しました。
実験結果
有名ブランドバッグを所有している被験者の場合は、グループAで実験を行った被験者の方が、グループBで実験を行ったものよりも22%も正答率が高かったそうです。
一方有名ブランドバッグを所有していない被験者の場合は、グループBで実験を行った方が正答率がわずかに高かったそうです。
考察
上記の実験結果から、有名ブランドバッグを所有している、つまり対象となる物や事象と関わりが強いの場合、「直感」という力は、正しく働くと考えられます。よく「ベテランの勘」と言われるのも、これがあるからでしょう。
逆にバッグを所有していなかった被験者は、じっくりと観察した方が正答率が高かったことから、自分の専門ではない分野や、初めてぶち当たる壁に対しては、直感ではなく、しっかりと分析を行ったうえで行動に移すと、可能性は僅かですが間違った選択をしないで済むのではないかと考えられます。
最近ではスポーツも徐々に数値化されていますが、ほとんどのスポーツは毎度その状況のデータをベンチに確認する時間も分析している時間もありません。自分の直感のたよらざるをえない場合がほとんどです。
そうした状況で自分の「直感」に頼るとき、その選択を正しい方向へ導いてくれるのは「いかにそのスポーツと長い時間向き合い、場数を踏んできたか」に限ると考えられます。
つまり、そのスポーツと向き合えば向き合うほど、あなたの直感はさえわたり、自分あるいはチームを救う好プレーにつながるかもしれません。
結論
そのスポーツに真剣に向き合えば向き合うをど、
そのスポーツに対する「直感」は洗練される。
今回の参考書籍
池田貴将(2017)『図解モチベーション大百科』
【スポーツ】怒り表出させると、パフォーマンスはさらに下がります。
長い年月スポーツに熱中し打ち込んできたことがあるなら、
きっと誰もが一度は、自分のプレーがうまくいかず、
悩んだ経験があるのではないでしょうか。
そんな時、あなたはどのような行動をとりましたか。
今回は、そういった壁にぶちあたりつい感情的になってしまう方に知ってほしい、
とある研究があったのでご紹介します。
この研究では、「怒り」という感情に対してどのような対処をするべきなのかについてを調べました。
研究内容
これは、心理学者ブラウド・ブッシュマン氏らが行った「怒り」に関する実験です。
被験者全員に、仕掛け人が挑発を繰り返しわざと被験者全員を怒らせます。
そして、怒らせた被験者を3つのグループに分け、それぞれ以下の異なる行動をとってもらいました。
グループA
怒らせた仕掛人の写真を見せ、気が済むまでサンドバッグを殴ってい良いと伝える。
つまり、感情を表出させる。
グループB
エクササイズしている写真を見せ、身体を鍛えているイメージをしながら、気が済むまでサンドバッグを殴ってよいと伝える。つまり、気を紛らわせる。
グループC
2分間静かな部屋に、静かに座っていてもらう。
その後、自分を怒らせた相手に対し、怒りの大きさを音で表現してもらいました。
この際、音の大きさや音を立て続ける時間は被験者の自由に任せました。
実験結果
実験結果は以下のようになりました
グループA
もっとも攻撃的で、音も長く大きいものだった。
グループB
攻撃的ではあったが、グループAほどではなく、別の対処を考える余裕もあった。
グループC
冷静になり、落ち着いた。
考察
実験結果から、怒りに対する対処は怒りを体現しないことだと考えられます。
怒りを発散させればするほど、怒りは余計に増幅し冷静さを失っていきます。
実際に、グループAの被験者の中には、実験室の壁に穴をあけてしまった方もいるそうです。
ついイライラがこみあげてきてしまった時こそ、なんとかそれを押し殺し静かに、
ゆっくりと呼吸ををし、自らを落ち着かせることが怒りに対する適切な対処であると
考えられます。
試合中、練習中、自分のプレーがうまくいかずついカッとなってしまったときは、
決してその感情をあらわにせず、ベンチにいるときやタイムアウトなど利用して、
自分の感情をしっかりと把握し、静かにそれを抑えると、
冷静さを取り戻し、プレーの幅が広がるかも知れません。
結論
自分のプレーにイラついても決して感情をあらわにしない
今回の参考書籍
池田貴将(2017)『図解モチベーション大百科』
【スポーツ】緊張時にパフォーマンスを上げてくれる意外な行動
スポーツをしていると誰もが経験するであろう緊張。
今回は、ハーバードビジネススクールのアリソン・ウッド・ブルックス氏が行ったとある実験から、スポーツにも応用できるかもしれない知識をご紹介します。
実験内容
ハーバードビジネススクールのアリソン・ウッド・ブルックス氏は、以下のような研究を行いました。
学生の被験者140人に、人前で2分間のスピーチをします。
被験者は3つのグループに分けられ、それぞれにグループに以下のような異なるアドバイスをして発表に臨んでもらいました。
グループA スピーチの冒頭に「私は落ち着いています」と言い、スピーチを始める。
グループB スピーチの冒頭に「私は緊張しています」と言い、スピーチを始める。
グループC スピーチの冒頭には何も言わずそのままスピーチを始める。
実験結果
グループAとグループCのスピーチ時間に、目立った差は見られませんでしたが、グループBだけ、スピーチ時間が平均して27秒長かったと言います。
また、スピーチ後、スピーチを聞いた観客にスピーチに対する「説得力」と「自身」の2項目について100点満点で評価してもらったところ、これもまたグループBが、どちらの項目も平均して約15点ほど、他のグループより高い評価を得ることができていました。
考察
以上の結果から、緊張(興奮)状態に対する適切な対処は、その緊張を自分の中でもみ消そうとするのではなく、その緊張を受け入れ、積極的に発信していくべきだと考えられます。
そもそも緊張は身を守るための防衛本能であり、なくてはならない本能です。
今回ご紹介した実験は、「スピーチ」という形式でスポーツとは少しかけ離れていますが、「緊張」という状況はスポーツでも頻繁に起こり得ます。
試合前や試合中の大切な場面で、緊張して不安に襲われたときは、近くにいるチームメイトなどに、その緊張を打ち明けてみてもよいかもしれません。
緊張に対して、適切な捉え方をして自身のパフォーマンスアップにつなげてください。
結論
緊張しているときは、その緊張を積極的に発信する
今回の参考文献
Alison Wood Brooks(2014)『Get Excited: Reappraising Pre-Performance Anxiety as Excitement』
Get Excited: Reappraising Pre-Performance Anxiety as Excitement (apa.org)
今回の参考書籍
池田貴将(2017)『モチベーション大百科』